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世界時 (Universal Time; UT)†
- 異なる場所での太陽の南中時刻は基準とする地点からの経度差分だけずれます。
- 逆に言えば、平均太陽時を経度の分だけ補正すると世界的に共通した時刻系を作れることになります。これを世界時といいます。
- 1884年の国際子午線会議において、
- 経度の基準となる子午線=本初子午線には、イギリスのグリニジ王立天文台を通る子午線が採用されました。
- 普通日 (universal day) が採用されました。これは、グリニジ平均太陽時 (Greenwich Mean Time; GMT) 正子を起点とする1日で、24時間制をとります。なお、当時のGMTは正午を起点とする天文時であり、普通日とは12時間のずれがありました。
- 1925年、GMTの基点が正午から正子へ変更されると (⇒ 歴史)、
- 定義が変わっても名称が同じで紛らわしいことから、1928年のIAU総会でGMTという用語は非推奨とする勧告が出されました。
- 代わりに推奨された用語の一つが世界時 (Universal Time) です。
- その後もたびたびGMTを推奨しない旨の勧告は出されましたが、現在でも世界時の意味でGMTが使われる事例は多数あります。
- 厳密には、UT0/UT1/UT2に細分されます (IAU Resolutions 1976 )。
- UT0:子午線通過など、観測から得られる時刻。
- UT1:UT0から極運動による経度の変化分を除いた時刻。地球の自転量をもっとも忠実に表します。
- UT2:UT1から年周および半年周の周期変動を除いた時刻。滑らかにはなるものの、完全に一定速度になるわけではありません。
- 暦象年表で世界時といえばUT1を指しており、UT0とUT2は現在ほとんど用いられることがありません。
- 協定世界時UTCの意味で世界時やUTが使われる事例も見られます。
地球の自転と世界時†
- 世界時は恒星の子午線通過により決定していました。
- 恒星は時々刻々と位置を変えていきます (日周運動)。逆に言えば、恒星がそこにいるのはその時刻だから、です。
- この運動のおもな要因は、地球が自転で向きを変えることであり、世界時は地球の自転量を表すパラメータと言えます。
- 暦表時等の採用で、世界時の位置づけは変わりました。
- しかし、天体の位置を決めるのはあくまでふらつきも含めた地球の自転量であることに変わりはありません。
- 現在では、恒星よりさらに遠方の天体=銀河系外にある既知の電波源を観測し、UT1-UTCの値を精密に計測しています。
- 日常生活に用いる協定世界時も、世界時UT1から大きく離れないよう、うるう秒による調整が行われています。この調整法が変更されても、世界時UT1の必要性が失われることは決してありません。
- 1984年 国際子午線会議:本初子午線、普通日の採用。
- 1925年 GMTの基点が正午から正子へ。
- 1928年のIAU勧告 (IAU 1928 ):GMTは非推奨。Greenwich Civil Time、Weltzeit、Universal timeはどれも正子区切りのGMTに合致。
- 1935年のIAU勧告 (IAU 1935 ):Universal time, Temps Universel, Weltzeitを使用する。Greenwich Civil Timeは将来的には非推奨。
- 1948年のIAU勧告 (IAU 1948 ):Temps Universel (Universal time, Weltzeit) 以外は非推奨。
- 1976年のIAU勧告 (IAU 1976 ):区別が必要ない場合は単にUTと表記してもよいが、科学的な出版物ではGMTは使わず、UT0/UT1/UT2/UTCを用いることを推奨。
- 1979年のIAU勧告 (IAU 1979 ):UT1とGMSTの関係。
- 1982年のIAU勧告 (IAU 1982 ):UT1とGMSTの関係。
- 2000年のIAU勧告 (IAU 2000 ):UT1とERAの関係。
関連ページ†
Last-modified: 2025-01-27 (月) 20:33:30